地域の暮らし | 2021.05.25 Tue

「働き方改革」を推進する仙台・宮城の企業とその取り組みを紹介!自分らしく働きたい人必見!

この記事を書いた人

コンサルタント

大西 理

医療系商社で基幹病院を担当し、医師や経営・管理部門、各メーカーとの関係構築に努める。東北に貢献したいと考え、地元の人材紹介業へキャリアチェンジ。日夜、転職希望者と企業の最高の出会いを追及している。趣味はボルダリングとダーツ。

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一時期「裁量労働制」というワードが世間を騒がせていましたが、事の一端はこの制度をめぐる厚生労働省の不適切なデータ処理。国会で激しい論争が繰り広げられる場面もありました。

裁量労働制は、安倍政権の目玉政策ともいえる「一億総活躍社会」を実現するために欠かせない国全体の労働環境改善を目的とした取り組みです。

宮城県においても働き方改革を実現するべくさまざまな取り組みが行われていますが、具体的にはどういった内容なのでしょうか。

今回は、宮城県・仙台市が取り組んでいる施策とともに、企業が行っている独自の取り組みなどについてご紹介します。

1.「働き方改革」とは?

「働き方改革」は長時間労働、正社員と非正規社員の格差、労働力不足などの問題を解消し、国全体の生産力を向上させることを目的とした国の施策です。

働き方改革の具体的な内容は、非正規雇用の処遇改善、長時間労働の是正のほか、高齢者の就業促進、女性の活躍促進、ワークライフバランスの実現など、合わせて9つの課題があげられています。

冒頭で触れた「裁量労働制」も働き方改革の施策の一つになりますが、これは労働基準法の第38条に定められている、いわば「みなし労働時間制」のことをいいます。

企業が裁量労働制を導入・拡大することにより、長時間労働の改善、正社員・非正規社員の格差の解消などにつながるというのが政府の見解です。

導入・拡大に懸念の声も

裁量労働制を導入すると、勤務時間を9時~17時(みなし労働時間は7時間)と定めた企業の場合、10時に出社して16時に退社(実労働時間は5時間)したとしても、所定の勤務時間働いたとみなして処理します。

つまり、実労働時間が規定より2時間少なくなるわけですが、7時間働いたときと同じ給与がもらえるということになるのです。

一見、労働者にとってはメリットのようですが「業務量が減るわけではない」「みなし労働時間を超過した時間分は残業にならない」などといった問題があります。

この制度を悪用する企業も存在するため、導入・拡大の推進を危惧する声が多くあがっています。

2.宮城県における働き方改革の取り組み

宮城県においても、生産年齢人口の減少・老年人口の増加による労働力不足の懸念、東日本大震災以降の実労働時間の増加などといった問題を解消するべく、さまざまな取り組みが行われています。

ワークライフバランス推進・気運を高めるための施策

宮城県ではワークライフバランス推進のため、県内の企業に対して積極的に働きかけを行っています。

具体的には、中小企業にワークライフバランス支援アドバイザー(社会保険労務士)の派遣、企業交流会の開催などを行い、ワークライフバランス実現のためのアドバイスや指導を実施しています。

また、働き方改革に積極的に取り組む企業を表彰したり、各種助成金を整備したりするなど気運を高めるための施策も講じています。

「活躍促進サポーター」「イクボス」女性活躍促進のための施策

女性が活躍しやすい環境を整備する目的で、2015年に「みやぎの女性活躍促進連携会議」が設立されました。

会長である県知事をはじめとする経済団体や行政などが連携・協力しながら、女性の活躍推進のための事業を行っています。

「みやぎの女性活躍促進サポーター」養成講座の実施、女性活躍促進相談窓口の開設(石巻地区・大崎地区)、女性のチカラを活かす企業認証制度・表彰、女性活躍推進を図るシンポジウムの開催、「イクボス」の普及・推進(誰もが働きやすい職場づくりのための管理職の意識改革)などが主な内容です。

「改革は行政から」県庁組織の率先した取り組み

働き方改革を推進する宮城県では、まずは県庁組織が率先して改革を行うべくさまざまな行動計画・目標を立てて取り組んでいます。

【主な目標】

  • 2020年度までに男性職員の育休取得率15%に引き上げる(2016年度実績13.3%)
  • 管理職に占める女性職員の割合を15%以上にする(2016年度実績7.9%)

上記目標のほかにも、子育て支援や朝方勤務、サテライトオフィスの試行、女性職員の職域拡大など、さまざまな取り組みを行っています。

「地方創生」にもとづく宮城労働局の取り組み

厚生労働省宮城労働局では、「働き方改革」による魅力ある職場づくりが「地方創生」につながるとして、「宮城働き方改革推進等政労使協議会」を中心に政労使一丸となって改革に向けた取り組みを推進しています。

県知事をはじめ、協議会を構成する経済団体や企業などのトップらが集まった2016年8月の会合では、県の「働き方改革」に向けた共同宣言を採択しました。

宮城労働局は、公式サイト上で働き方改革の必要性を訴えたり、具体的な施策について提案したりするなど、企業などへの啓発を行っているほか、取り組みの手本となる企業の事例や厚生労働省の支援策などを紹介しています。

3.仙台市の取り組み

県庁所在地である仙台市では、県の施策に加え、独自の取り組みを行っています。

中小企業融資制度要件に「働き方改革推進関連」を追加

仙台市では、中小企業の経営の安定・成長をサポートするため、宮城県信用保証協会および地域金融機関と連携しながら融資制度を運営しています。

2017年に本制度の改正・資金メニューの見直しが行われ、申し込みの対象が一部拡大しました。

この改正で、仙台市中小企業融資制度の1つである「地域産業活性化融資(仙台経済成長資金)」において、働き方改革推進関連の項目が追加されました。

女性の活躍支援、青少年の雇用促進、ダイバーシティ経営などに積極的に取り組んでおり、一定の要件を満たす中小企業であれば、融資の申し込みが可能になっています。

女性活躍推進のため、関連団体・事業者と連携

仙台市・市民局協働まちづくり推進部男女共同参画課では、男女共同参画推進に関連する調査・研究を行うほか、女性活躍推進企業事例を紹介するなど、啓発活動に取り組んでいます。

また、公益財団法人 せんだい男女共同参画財団や県内の事業者などと連携・協力し、女性活躍を応援するためのセミナーや、女性リーダー育成を目的としたトレーニングプログラムなどを実施しています。

市役所職員を対象にした取り組み

仙台市役所においても、職員の働き方改革に積極的に取り組んでいます

特に女性職員の活躍推進に力を入れており、2016年~2021年までの5か年計画で「女性職員活躍推進プラン(女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画)」を打ち出しました。

主な取り組み内容は、女性職員のキャリアアップ支援、女性職員の政策形成部門・管理的立場への参画促進、仕事と家庭生活の両立支援などです。

また、2003年の「次世代育成支援対策推進法」の成立を受け、市では「職場で取り組む子育て推進プログラム」を2005年に策定。男性職員の育児参加の促進、仕事と育児の両立支援、ワークライフバランス実現のための環境づくりなどにも取り組んでいます。

4. 働き方改革を進めている宮城の企業例

宮城県内に拠点を置き、働き方改革を推進している企業とその取り組み内容についてご紹介します。

株式会社 ユーメディア

仙台市若林区に拠点を構えるユーメディアでは、印刷・出版など中心に総合メディア事業を中核としている企業です。

働き方改革に積極的で、他企業の模範事例になるとして、2017年11月、宮城労働局に「ベストプラクティス企業」として認定されました。

22時以降完全閉館で長時間労働を解消

ユーメディアでは、2017年5月から22時に全館消灯・完全閉館を実施することで、時間外滞在や長時間労働の解消に努めています。

実施前と比べると、社員の残業時間が月平均で1人当たり10時間ほど削減されたという効果が報告されています。

「立ち会議」で時間を短縮

「スタンディング・ミーティングスペース」を設置し、会議や打ち合わせを立って行うことで無駄な時間を省くことを試みています。

ユニークなアイデアでワークライフバランス実現に取り組む

2015年、社内に「新しい働き方委員会」が発足し、メンバー同士でワークライフバランス実現に向けたアイデアを出し合っています。

具体的には、全社員が月に1回以上定時退社することが可能な「イクメンの日」を決める、月1回年次有給休暇を取得する「M1休暇」を目指す、などといったユニークな取り組みがあります。

そのほか、約2年間の育児休業、配偶者の出産時における男性社員の有給休暇取得も可能。さらに、社員が休みやすい環境づくりにも努めています。

コクヨ東北販売株式会社

コクヨ東北販売は仙台市宮城野区にある、文房具・事務機器などの販売会社です。

働き方改革の第一歩はオフィスリニューアルから

コクヨ東北販売は、2018年1月に働き方改革を促進するオフィスの提案拠点として「仙台一番町ライブオフィス」をリニューアルオープンしました。

オフィスはフリーアドレス席、ライブラリー、リフレッシュスペースなどで構成され、コミュニケーションの強化、生産性や創造性の向上といった面から働き方改革に取り組むとしています。

新オフィスのコンセプトは「EMIT(エミット)」。

「EMIT(エミット)」はTIMEを逆から読んだ造語で、時間を意識し上手く使うことで仕事の生産性を上げるとともに、多様な働き方を実現するという想いが込められています。

株式会社 藤崎

藤崎は仙台市を中心に東北地域で百貨店を営んでいます。

有期労働契約の無期労働契約転換ルールが2018年4月より適用されるのに先立ち、これを先行実施したモデル企業として2016年8月に宮城労働局から表彰を受けました。

独自の制度で非正規雇用労働者の処遇を改善

厚生労働省によると、「無期労働契約への転換ルール」とは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことをいいます。

引用:厚生労働省「有期契約の無期転換ポータルサイト」より抜粋 http://muki.mhlw.go.jp/

このルールにより、非正規雇用労働者の働き方改革の推進が期待されています。

藤崎では、有期雇用契約職員は契約更新による継続雇用期間が3年を経過すると、自動的に無期労働契約に転換される独自のルールを制度化しています。

さらに、正社員転換が可能となる人事ルートなども制度化し、非正規雇用労働者の処遇改善に努めています。

株式会社 七十七銀行

七十七銀行は、仙台市青葉区に本店を置き、宮城県内などに140を超える支店・出張所があります。

家庭も巻き込んだワークライフバランス推進の取り組み

七十七銀行では、2014年より「ワークライフバランス推進運動」を実施。

主な取り組み内容は、20時以降の時間外勤務の原則禁止、月5日以上の定時退行や年次有給休暇の取得促進などです。

また、社員の家族を対象とした職場見学会を実施し、職場内における家庭参画意識の気運を徐々につくり出そうと試みています。

育休明けも安心して働ける子育て支援策

ワークライフバランス推進の一環でもある子育て支援策として、七十七銀行では仕事と育児の両立支援、育児休業者の職場復帰支援、男性社員の育児休業の取得促進にも取り組んでいます。

ホシザキ東北株式会社

ホシザキ東北は仙台市青葉区に本社を置き、業務用厨房機器の販売・メンテナンス事業などを行なっています。10年以上前から職場環境改善に取り組んでいることで知られています。

女性活躍推進の取り組み「女性かがやきプロジェクト」

ホシザキはグループとして、2010年に「女性かがやきプロジェクト」を発足させ、2020年までに新採用の女性割合を30%にする、管理職以上の女性割合を10%にするなど具体的な数値目標を掲げ、女性社員の雇用や育成などに力を入れています。

こうした中、一定の基準を満たし、女性の活躍を推進している事業者に対して、厚生労働省から与えられる「えるぼし」認定を2016年に取得。

ホシザキ東北以外の2社の含め、宮城県内の企業では初のことでした。

厚生労働省お墨付きの子育て支援対策

ホシザキ東北では、男性社員の育児休業の取得促進など、社員の子育て支援にも積極的に取り組んでいます。

子育てサポートを行う優良企業が、厚生労働省から認定を受けられる「くるみん」マークを2012年に取得したのに続き、2015年には「プラチナくるみん」認定を全国で初めて取得しました。

ホシザキ東北が、子育て支援を高い水準で行っている企業であることの証です。

有給取得率は75%超え!ワークライフバランス実現のための取り組み

ホシザキ東北は、2007年からワークライフバランスの推進に取り組んでいます。

具体的には、毎週水曜日を定時退社日に設定する、バースデー休暇・メモリアル休暇制度を設ける、有給休暇取得推進する、などの施策です。

有給休暇取得率は、2015年度実績で全国平均が47%程度にとどまっているのに対し、ホシザキ東北の社員の取得率は75%を超えています。

5.宮城、仙台はますます働きやすい街に

宮城県では自治体をはじめ、さまざまな企業が働き方改革に取り組んでいるため、ますます働きやすい地域になることでしょう。

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